卒論の振り返り
2021/04に研究室に配属され,2022/02に卒論発表を終えて,1年弱の卒論が終了した. 大学院に進学することが決まっているので,これからあと2年同じ研究室で研究をする予定だ. 来年以降,卒論生のメンターになる可能性があり,自分がこの一年を参考とするため,自分の卒論生活を振り返っておきたい.
卒論全体に対する感想や反省
卒論執筆について
- 実験系の研究室だったため,先輩も居室にいるし,基本的にラボに通って執筆していた.
- 卒論のために他の予定を一切なくしたため,週一回のバイトの日以外は朝10時にラボに着いて,14時ごろ昼食を食べ,19時ごろ夕食を食べ,23時ごろ帰宅する生活を送った.
- この生活をひと月くらい継続できた.それまで適当な生活習慣だったため,自分でも驚いた.
- 高校時代を思い出し,毎日乗る電車を決めてそれに間に合うように心がけたところできるようになった.
- 生活習慣を固定して,実行できていた.
- 上にも書いた通り,毎日決まった時間にラボに行き,きちんと食事をとっていた.
- 以前は,食事を忘れてしまったり,とるのが面倒になってしまったりしていたが,ここで改められたのはとても大きな成果だった.
- 習慣に関しては,しんぱちさんを知ったのが大きいかもしれない.
- 朝のサイクルを作ることでタスクの進みが違う,という話を読んで,行動に紐づけて何かを習慣にするというのは,知っていたようでいたが,はっきり言語化されてハッとした.
- 自宅で一人で20年働くフリーランス・デザイナーが実践している習慣術|しんぱち。|note
- 食事に関しては,燕禅さんの記事がだいぶハッとさせられた
- 家に帰ったら研究からは離れるようにしていた
- ギリギリまで居室に居て,ラボにいる間は卒論をやるけど,家に帰ったら一切PCも開かず,研究関連のことはしないと決めていた
- 家族との会話の時間を少しでも取れたのでよかったと思う
- 最後の方は焦りがちょっと出てきて家でも遅くまで(AM2)PCに向かってしまい,寝坊してしまったので,反省している
- キーボードの設定を普段の「、と。」ではなく「,と.」になるように変更した.
- 執筆は単調だが楽しい.
- 実験は立ち仕事だったり,試薬の順番をちょっと間違えただけで失敗してしまうので緊張感がある.
- 執筆は,溜まっていた実験結果を解析してグラフなんかにまとめて先行研究を参照して考察して,それを言葉にする作業だと感じる.
- 実験で出てきた結果をまとめられるのは,自分がやってきたことを認める作業に思えて,とても嬉しい気持ちになる.
- 同期の1人が「実験してる方が楽しい」と言っていたが,研究は論文の形で外に発表しないと誰にも知ってもらえない.せっかく頑張って実験したんだから,それをまとめないと意味ないなと思った.
- また,実験室ではなく居室で作業できるので,ずっとイヤホンで好きな音楽を聴いていられる.とても嬉しい.最高.
- 卒論執筆が本格化して,Spotifyを導入した.
- 書いていると実験前に調べていたこと以上に文献を探さないといけなくなる.自分の理解不足や,知識不足をひしひしと感じて情けない気持ちになった.
- 卒論は,動画編集に似ている.
- 成果を発表するのだから,似ていても不思議ではないけど,自分が動画編集していた時と同じことをしているなと感じることが多い.
- 書いていて,ここ後で修正しなきゃとか,このデータ用意しなきゃとか,手元にメモ帳を用意して書き留めているのだが,それが動画編集の時と同じなのだ.
- バージョン管理して,先輩にチェックしてもらって,コメントをもらって,修正して,も同じ.書き出しは印刷と言ったところだろうか.command + Sを度々押すのも同じ.
- 書き方(構成など)は,自分のテーマと最も近い先行研究を参考にした.
- 最初は自分がやった実験を時系列に並べて考察を書いていたけど,あるとき急にこれじゃダメだと気がついた.先行研究を読んでいたら,そんな書き方をしているものはなかった.
- 先行研究1の論文と先行研究2の論文は,先行研究2の論文が先行研究1を踏襲するような書き方をしていた.つまり,議論の展開の仕方として,先行研究1の論文は基礎になって,それに照らし合わせて議論を展開すればいいのかなと思えた.
- これに気付いて,卒論の考察が書きやすくなった.
- 論文は1ヶ月前から書きはじめた方がいい,というアドバイス
- 先輩が言っていたのを覚えていて,1月頭には目次を考えられていたのはよかった.
- 研究室歴代の先輩の修論や卒論がなかったら,イントロとかの論理展開を自分でイチから考えないといけなくなって,もっと大変だったと思う.
- 先輩方の論文を見て,どういう雰囲気か分かったのはとてもありがたかった.
- 同期を見て気づけたことが多かった
- 同期が実験で合成に失敗して,そのデータは卒論には載せられないねと話したとき,卒論はやったことをやりました!って全部書く場所ではないんだな,と改めてハッとした
- またある時は,先生から大量の先行研究を調査するよう指導されて苦労している姿を見て,自分ももっと分析しつつ先行研究を調査しないと,と思えた
役に立ったサークルでの経験
- ソースを提示する習慣
- 何か提案したり,発言したりする時は,ちゃんとURLとかの情報源を提示しないといけない雰囲気があった.
- それは何が根拠なの?みたいに考える癖がついているのかもしれない.
- 卒論でも,主張の根拠を一つ以上確保しないと気持ち悪くて,先行研究の調査をずっとしていた.
- 先生からも「よく調べられている」と褒めてもらえたのは,この習慣が役に立っているように思う.
- もっと効率が良い方法があるんじゃないか
- もっと効率が良い方法があるんじゃないかと思えるのも,他の分野の人を知ってるからかもしれない.
- サークル同期の中でこの専攻に来た人は自分だけだし,他の分野の人たちのことを知っているのはとても良い影響がある気がする.
- 論文の書き方ひとつとっても,証明を書かないといけないとか,システム構成図を書くとか,TeXを使っているとか,様々な分野でそれぞれの文化がある.
- 自分が知っている方法や,先輩がやっていた方法が唯一ではない,と当たり前に思えるのは大事だなと感じる.
- そこに染まってしまうと,違和感に気付けず,よりよくなるチャンスを失ってしまうように思う.
- ドキュメンテーション
- サークルの活動で,作業日誌や反省を毎日毎回書いてたおかげで,文章を大量に書くことには抵抗が少なかった気がする.
- また,こうやってドキュメンテーションしていくのも習慣になっていて,できないと逆に気持ち悪いと感じるようになっていて,良いと思う.
- 先生との会話
- サークル活動で担っていた渉外やマネジメントの話に,ラボの先生が興味を持ってくれて嬉しかった.
反省・改善点
- もっと先に実験して確かめておけばよかったことが多い
- 自分の考えた手法が最初から上手くいくことはない
- 参考にしている先行研究に対して,どこが同じでどこが違うのかを整理しないといけない
- パラメータを把握していないと比較できないが,どこが勘所なのかをパッと理解できない.これは経験値が浅いことも理由としてある.
- その対策として,「まずはやってみる,そこから考える」というサイクルをガンガン回していかないと間に合わない
- 知識をつけるのも重要だが,手を動かすのも同様に重要だなとひしひしと感じた
- すぐに実験をはじめられない
- 実験手法を調べてないから手をつけれらない現象があった
- 自分を律する必要がある.習慣に取り込んでしまうのがいいかもしれない.何かの行動に結びつけてやってしまうようにする.
- 先輩にやり方を聞くことに対して気が引けてしまった
- 先輩とは仲良くなっておくこと,LINEとかをもっとちゃんと返信したり,連絡したりすること
- 実験手法を調べてないから手をつけれらない現象があった
- 毎日ちゃんと規則正しい生活をして実験する
- 博士の先輩は,朝決まった時間に来て実験してる
- コツコツやった方が実験量も増えるし,良い
- 自分で進めていくことに対して尻込みしないことが大事
- それを継続することも需要なので,継続できる時間帯を選ぶ
- 装置のこと知らなさすぎる
- 実際にやってみると理解がしやすいのは確かだけど,卒論書く時になって初めて知ることとかが多すぎた
- 論文の「実験原理」を先に書くつもりで,複数のサイトとかを見ておいた方がいい
- その後の分析がどういうポイントに気をつければいいかとか
- 先輩の進捗報告会でどうやってデータが整理されているかも注目しておくと良い
- バックアップは,ちゃんとバックアップになるようにとること
- google driveにもアップロードがちゃんとできているか確認する(接続が切れてできていない現象も起きがち)
- PC本体だけではなくて,USBにもとってる
- USBをPCと同じ鞄に入れて持ち歩いてたら,それはバックアップなのか怪しいけど
- 同期に声をかけすぎた
- 執筆スピードを煽る形になってしまったのは,お互いに雰囲気を悪くしてしまった気がする.反省
- お互いに,適度な気分転換になるような関係性を作っていきたい
- あんまり人のことを気にしすぎても良くない
- 研究の進め方,みたいな情報を集めたほうがよかった
- 実際にやって経験を積むのも重要だが,情報を得ておくに越したことはない
- スライドの作り方とか,論文の書き方とか,研究室での過ごし方とか,なんとなく調べたり話を聞いたりしたけど,いまいちちゃんと調べたり知ったりしようとしていない気がする
- 実感を持って早めに読んでおくべき
- 特に書籍とかを読むのがいいと思う
- ひとまず,ざっと探して見つけたブログを読んだりしている
- 先生とのディスカッションの機会を増やす
- メンターの先輩には,実験結果が出るたびに逐一報告・相談していたが,先生とはそこまでディスカッションできていなかった
- その先輩が今年で卒業されてしまうので,もっと積極的に先生に報告・相談するようにしたい
- するすると話すことと専門用語を記憶することが苦手なので,ノートとペンを持って話に行きたい
- 学会やセミナーなどで,近い分野の研究者と交流したい
ざっくりしたスケジュール
- 研究室配属
- 研究テーマの相談
- TEMの利用申請
- 進捗報告会 (1/week,3ヶ月に1回くらい発表)
- 論文紹介(1/week,3ヶ月に1回くらい発表)
- 廃液処理
- 実験室の使い方
- ゴミ捨て
- マイクロピペットのチップ補充
- アルカリバス→乾かす→仕舞う
- 廃液の分類
- 論文にはreviewとかarticleとか種類がある
- 中間計画発表
- 要旨
- 発表練習
- 発表(7分+3分)
- 院試
- 卒論
- 要旨(1枚)
- 本論
- 発表練習
- 発表(7分+3分),スライドは10枚くらいで
使用したツールまとめ
- google scholar
- Web of Scienceとか色々検索サイトがあるので,研HPの「リンク」から見てみるといい
- ある論文を引用している論文内から検索とかもできる,検索ワードの使い方(and と - みたいな)とか,ある程度使い方を知っていると良い
- Mendeley
- DeepL
- google翻訳でもいいけど,DeepL強い
- Google drive
- PC版を入れておくと,触りやすくなる
- 共用フォルダは他の人も操作できて間違えて消えちゃったりするので,自分のところにもバックアップとっておくべき
- Google calendar
- 研のスケジュールが書かれる.zoomのURLとかも書いてるので,カレンダーを確認すると良い
- EZproxy
- 学外から論文を見るときに使わないと全文が見れない
- 公式記事:https://www.sodan.ecc.u-tokyo.ac.jp/hack/search-engine-via-ssl-vpn/
- オンライン関係のことについては,https://utelecon.adm.u-tokyo.ac.jp/ も詳しいしわかりやすいので参考にして欲しい
- 参考記事:https://note.com/k_yamamoto/n/n0ee13fe38f24
- その他のアプリケーション
- 個人的なものたち