ChemDrawで描いた分子をBlenderに3Dモデルとしてインポートする
せっかく大学が夏休み期間なので,新しいことをはじめようと思いたち,Blenderを触っています. 分子モデルを使いたいなと思い試行錯誤した記録を残しておきます.
概要
ChemDrawで作った構造式ファイルをOpen Babelを使って.pdbに変換し,Blenderで読み込みます.
大まかな流れを示します.環境はMacです.
ChemDrawは使えるものとし,Blenderもインストール済みとします.
以下管理者権限のあるアカウントから行うこと.
- HomeBrewを入れる
- Open Babelのインストール
- iBabelのインストール
- ChemDrawで構造式を描く
- Open Babelを使って.cdxファイルを.pdbに変換
- Blenderで.pdbファイルを開く
目次
- 1. HomeBrewを入れる
- 2. Open Babelのインストール
- 3. iBabelのインストール
- 4. ChemDrawで構造式を描く
- 5. Open Babelを使って.cdxファイルを.pdbに変換
- 6. Blenderで.pdbファイルを開く
- 参考文献
- おまけ
1. HomeBrewを入れる
Open Babelのインストール方法はいくつかあるようですが,今回はHomeBrewを用いました.
既にHomeBrewが入っている人はスキップしてください.
ターミナルを開いてHomeBrewのHPにあるコマンドをコピペしてEnter.
この時パスワードを聞かれるはずなので,管理者権限のあるアカウントから行うこと.
2. Open Babelのインストール
ターミナルを開いて以下を入力してEnter.「$」は入力せずbrew以降をコピペしてください.
$ brew install open-babel
インストールには結構時間がかかります.ターミナル上で勝手にmakeとかしていたらOK.
Open Babelに詳しいことが書いてあります. 上画像において,Downloadの矢印マークをクリックすると次のような画面が出てきます.HomeBrewを使わないインストール方法も教えてくれます.
3. iBabelのインストール
Open BabelはCUI(コマンドライン)での操作が可能なようですが,慣れていないため,GUI操作画面を使いたいと思います.
MacOS用に提供されているiBabelをインストールします.
今回はiBabel4.0をインストールしました.
iBabelを開いて,画面中程にあるzipをダウンロードします.
ダウンロード後,アプリをPCの「アプリケーション」内に移します.
アプリをクリックして開こうとすると,外部からのインストールのために開けないことがあります.
その時は,右クリックから「開く」を選択すれば開けるようになります.
ターミナルで以下を打ち込んでEnter.obabel 実行可能ファイルへのパスが帰ってきます.
$ which obabel
例えばこんな感じ.これをコピーしておきます.
/usr/local/bin/obabel
iBabelのアプリを開いた時,左上にあるバーから「iBabel」をクリックして「Preferences」を選択,「obabel location」に先ほどコピーしたパスをペーストして「OK」.パスを通しました.
4. ChemDrawで構造式を描く
ChemDrawで構造式を書いて保存しておきます.今回は省略.タンニン酸の構造式を描き,「TA.cdx」という名前のファイルを作りました.
5. Open Babelを使って.cdxファイルを.pdbに変換
iBabelを開いて,ファイルを変換します.
Input Fileを指定して,Input File Type(今回はcdx)をプルダウンから選択.同様にOutput File(変換先のファイル)の保存場所とFile Type(pdbにする)を指定します.
画面右側のGenerate 3Dにチェックを入れたら,左下のCheckを押すと,今回行う変換にエラーがないかなどをチェックしてくれます.
大丈夫そうだったらConvertを押します.指定した場所に新しくファイルができていたらOK. 今回は「TA.pdb」というファイル名にしました.
6. Blenderで.pdbファイルを開く
Blenderでアドオンを有効にして.pdbファイルを読み込めるようにしていきます.
Blenderを立ち上げて,左上の「編集」から「プリファレンス」を選択.
「Import-Export:Atomic Clender PDB/XYZ」というアドオンを探して,左のチェックボックスにチェックを入れます.
すると,「ファイル」>「インポート」から.pdbファイルを開けるようになっていることがわかります.
先ほど変換して保存した.pdbファイルを開けば,分子3Dモデルのインポートに成功です.
参考文献
以下のサイトを参考にしました.
- Blender for Scientists - How to Make ANY Molecule in Blender - YouTube
- Open Babelを使って化学情報のファイル形式を変換 | 化学の新しいカタチ
- blenderで分子モデルを書きたい(blemderでpdbファイルを読み込む) - 化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ
- Open Babel を使ってみよう~ケモインフォマティクス入門~ | Chem-Station (ケムステ)
- 【初心者向け】Homebrewのインストール方法を解説! | AI Academy Media
おまけ
ほかに調べたことを記録しておきます.
- 分子構造データ - jmatudaの技術メモ
- MolView
- Web上で分子3dモデルを描くことができる.普通の分子の場合は書き出し形式は.mol.